昨日、一昨日とマスキュー試飲会に足をお運びいただきありがとうございました。今月は日程がイレギュラーにもかかわらずわざわざのご来店重ねて御礼申し上げます。
今回はロワール下流域づくし(笑)。
まずはこれからの季節にピッタリの爽やかな白二連発!
◯グロ・プラン・デュ・ペイ・ナント シュール・リー 2013年 ドメーヌ・B&D・マルタン
販売価格(税込): 1,434 円
◯ミュスカデ・セヴル・エ・メーヌ・シェル・リー VV 2013B&D マルタン
販売価格(税込): 1,542 円
「マスキューさん このラベル随分飲みましたよ(笑)」
家内「マスキュー定番として長く扱ってます(笑)。」
「私は初めて(笑)。グロ・プランとミュスカデ 品種ですか?」
私「左様で。造り手は同じマルタン、ヴィンテージも同じ2013年。造り方も同じシュール・リーです。まずは比べてくださいませ(笑)。」
「おー、酸っぱい(笑)。でも水っぽくない(笑)。塩辛いかな?似ているけど違う。」
「ライムやレモンの酸がいかにも夏向きだね。マスキューさんこの時期よく試飲会でこの手のワイン使いますよね(笑)?」
私「ゲ!お見通しで(笑)。」
「グロ・プランはワイルドな感じかな。ミュスカデの方が厚みがあるかな。」
「グロ・プランは個性的だよね。香りの差はあるんだろうけどはっきり解らないなぁ(笑)。」
私「どちらもフローラルで複雑なタイプではありませんが、比べると違いははっきりありますよね。」
「シュール・リーって何ですか?」
家内「醗酵終了後に澱と一緒に熟成することです。そうすることによりワインに厚みが出ます。」
「なるほどね。だから薄くは感じないのかな?」
「うんうん。グビグヒ飲めるけれど、満足感はあるんだよね(笑)。」
私「個人的に申し上げますが(笑)、夏の暑い日に小海老のフリッターに塩とレモン汁を振りかけてグロ・プランを飲むことが至福の一時。あと真夏に無性に鯵の刺身を食べたい衝動に駆られるた時にこのミュスカデを飲むことにしております。その衝動に一番適したワインだと。ですからマスキューの定番になっております(笑)。」
家内「どちらのワインも真夏に暑さでフラフラになった体に、発汗により失われたミネラルやビタミンCを補給してくれますよね(笑)。」
「クエン酸補給ですね(笑)!」
「マスキューさん!このワインはよく冷えていますが、何度Cくらいで飲むのが良いのですか?」
私「本来は8~10℃くらいが良いとは思いますが、汗でベタベタの体を癒す時にはビールくらいに冷やしちゃいます(笑)。まずは喉越しの清涼感が必要(笑)。その後は体が弛緩するのに伴い、徐々にワインの温度上昇に身を任せる。 なんちゃって(笑)。」
さて、これよりマスキュー試飲会初登場のジェレミ・ムーラの赤・白4本です。一つの生産者を一辺に4本登場させるのはマスキュー初!
◯『コレクション・ブラン』2012年 ジェレミ・ムーラ フランス 白 南ロワール ヴァル・ド・ロワール 販売価格(税込): 1,928 円
「あー!これすごい!すんごい力。でも、飲みやすい?」
「シェナンブランらしいよね。広がりが突き抜ける(笑)。」
「みっちりしてる(笑)。でもキメ細かいかな(笑)。」
「白い柑橘類・レモン・ライムの香りが強いけれど、滑らかさもしっかりあるよね。」
「前の2本ともある意味共通してますよね。だからロワールかな?」
「マスキューさん、シェナンとシャルドネをアッサンブラージュすることはあまりないですよね?普通ミスマッチ?」
私「実はシェナンの香りとシャルドネの香りは同じような要素です。ただその要素のベクトルが違うだけかと。時間が経つとバターやアプリコットの香りも出てきます。」
「そういえばバターの香りがする!これって樽香じゃないんですか?」
私「はい。シェナンとシャルドネ共通の香りのエレメントかと。」
「アプリコットっぽさもあるなぁ。」
「この強さはシェナン所以なんですか?」
私「はい。ただこの『コレクション』は葡萄樹1本からフル・ボトル1本分しかワインを造っていません。」
「普通は1本の葡萄樹から何本くらいですか?この価格帯の標準はフル・ボトル4~5本くらいです。」
「それじゃかなりコスト・パフォーマンスが高いんだ!」
「1本の葡萄樹から少ししか収穫しないとワインの味わいや品質は高いということなんですか?」
家内「基本的にはそうです。
私「ただしカリフォルニアなどのニューワールドでは、ほとんどのワイナリーは一番収穫効率の高い4~5本位で収穫します。更に濃い果汁が欲しい場合は濃縮果汁器を使います(笑)。何万円で売られているワインもそうです。」
「ホントに?」
私「もともと雨の降らない場所ですから葡萄の収穫量が少ないため、果汁濃度と量のバランス効率が一番良い4~5本の収量となります。それを何万円で売ることは犯罪ではなくアメリカンドリームのようです(笑)。」
「この価格のワインがそれ以上の品質であることが何故解るんですか?」
私「(待ってましたとばかりに)実は10日前に開けたワインがあります。飲んで比べてミソ(笑)。」
「えー!」
「同じワインですか?!」「まろやか!旨い!」
私「開けたては白い柑橘類のニュアンスが支配的ですが、抜栓後10日経つとアプリコットなどの黄色い果実のニュアンスがしっかり感じられます。」
「あと、トロミがあってふっくらしていて同じワインとは思えない。香りだってしっかり立ち上る。」
「空けてすぐだと明瞭ではないけど、10日経つと果実のニュアンスがはっきり解る。」
私「ありがとうございます。この『コレクション』はドメーヌのミドル・レンジなのですが、驚くほどポテンシャルが高いかと。」
家内「ロワールのワインって日本ではあまり売れません(笑)。ワイン単体で飲むには力強すぎるからのようです。ファットな今風のスタイルに慣れた方には刺激が強すぎるかも?食べ物に合わせる前提なら大丈夫なんですけどね…。」
私「実は金曜日の試飲会が終わってからお腹が空いたのでシュークリームを食べました。試しにこの白ワインを飲むと、抜群に旨い(笑)。一気に香りの幅が広まり言葉を失いました(笑)。黄色い果実のニュアンスが一気に加わり口の中で爆発します(笑)。」
「シュークリーム以外に何に合いますか?」
私「クリーム系は、鉄板なはず。」
家内「カルボナーラやグラタン クリーム系のソースとの相性は間違いないです。あとハーブのニュアンスがワインにありますから、ローズマリーやディルなどの香草が合うはず。」
「チーズなんかどうですか?」
家内「シェーブル しかもフレッシュなタイプは合いそうですよね。最初のグロ・プランやミュスカデもシュール・リーしていますから乳酸のニュアンスが強いですので、フレッシュなシェーブルにも合うかな(笑)。」
●『コレクション・ルージュ』2012年 ジェレミ・ムーラ フランス 赤 南ロワール フィエフ・ヴァンデアン・マルイユA.C. 販売価格(税込): 1,928円
「うわっ!フランボアーズ爆弾(笑)!」
「これはロワールらしい。カベルネ・フランらしい!鮮烈だよね(笑)。」
「香りを嗅ぐとピンとこないけど、飲むと香りが爆発する(笑)。」
「官能的だね。エロチック(笑)。」
私「脂紛の香りがする(笑)。」
家内「あんたは谷崎潤一郎か(笑)?!」
「脂紛って何ですか?」
私「古い言い方で失礼しました(笑)。白粉(おしろい)。」
「???」
私「お化粧。」
「あー、ファンデーションですね(大爆笑)。」
「店長!このワインはピノ・ノワールが入っているのに、何でこんなにカベルネ・フランらしいのですか?」
私「おっしゃる通り。カベルネ・フランの特徴であるフランボアーズの香りが明瞭ですよね。しかも、これほどフランボアーズの香りが明瞭なカベルネ・フランが見当たらないほど。フランボアーズの香りがデフォルメされていますよね。」
「セパージュはピノ・ノワール40%、カベルネ・フラン40%、ネグレット20%ですよね。理解出来ないです。」
私「このあとに出るピノ・ノワールを飲むと解りますが、ロワールに置いてはカベルネ・フランとピノ・ノワールには親近性があり。そして、その親近性を具現化したのがこのワインかと。」
「ピノ・ノワールとカベルネ・フランではミスマッチじゃないんですね?」
私「最初はミスマッチだと思ってましたが、飲んでみるとベストマッチ(笑)。」
家内「ブルゴーニュだとピノ・ノワールとガメイに親近性がありますが、熟成のスピードが違いますからベストマッチとは言い難い。ですからアッサンブラージュしても所詮ブルゴーニュA.C.の格下です。」
私「あと、『コレクション』の白同様の良さがあります。10日前に抜栓したワインがありますから、比べてミソ(笑)。」
「あんまり変わらない(笑)。香りは10日前抜栓のほうが立つ。」
「10日経った方がまろやかかな(笑)。」
「これって信じがたいレベルの高さなんですね…。」
「並のグラン・ヴァンやグラン・クリュだってこんな生命力はないよね。この上のランクのムーラン・ブランはどうなの(笑)?」
◯『ムーラン・ブラン』ブラン・ド・ブラン 2013年 フランス ヴァル・ド・ロワール 白 販売価格(税込): 2,777 円
「なんか凄みがある。普通じゃない(笑)。巨大。」
「たしかに(笑)。『コレクション』の比じゃない(笑)。でも良く解らない(笑)。」
私「造りの規格は1本の葡萄樹からハーフ・ボトル1本ほどしかワインを造っていません。古典的なブルゴーニュのグラン・クリュの規格です(笑)。」
家内「閉じてますよね(笑)。このワインはコンクリート製の玉子型のタンクでシュール・リーしています。自然に対流が起こるので効率が良い(笑)。ワインに厚みを、これでもかと加えています(笑)。」
「マスキューさん、これもシェナン100%じゃないんですよね?」
私「はい。シェナン70%、シャルドネ30%です。でもこうなって来るとどうでもイイ(笑)。」
家内「では10日前に抜栓したワインと比べましょうか(笑)!」
「あー!ホントに同じワインなんですか(笑)?言葉にならない深さ…。」
「このワインは一体どれほど長い生命力があるんですか?」
私「20年以上は持つのかな?正確には解りません(笑)。」
「香りも10日前に抜栓した『コレクション』に似ていますよね。白い柑橘類と黄色い果実。」
私「あと、シュール・リー由来の赤い果実のニュアンスが加わっています。」
家内「グリーンのノートもしっかり感じますね。白・黄色・赤・緑。信号機より複雑で明瞭かな(笑)。」
「色の3原色を越えてる(笑)。」
私「シェナン100%でドライ・スタイルだとこれほど将来性を感じるワインは経験したことがありません。甘い貴腐だとあるんですか…。この意味でも新境地かと。」
●『ムーラン・ブラン』ピノ・ノワール 2013年 フランス ヴァル・ド・ロワール 赤 販売価格(税込): 2,777 円
「ブルゴーニュのピノ・ノワールとは明らかに違う(笑)。」
「フランボアーズ!」
「果実味は『コレクション』の赤に近い?」
「口に含むと味はフランボアーズ フランボアーズしてるけど、香りはしない(笑)?閉じてるんだな。」
「ピノ・ノワールなんだろうけどカベルネ・フランっぽい(笑)。研ぎ澄ましたカベルネ・フラン(笑)。」
「さっきマスキューさんが言っていたカベルネ・フランとピノ・ノワールの近親性が解った(笑)。」
私「ありがとうございます。不思議ですよね。ブルゴーニュだとピノ・ノワールはストロベリーやチェリーが味わいの芯になります。敢えて言えばこのフランボアーズのニュアンスはブルゴーニュの中ではモンテリに似てるかな?」
家内「ブルゴーニュ的ではないにせよ、ロワール的ピノ・ノワールとして認定します(笑)!」
私「これも10日前に抜栓したものが少しだけ残ってますから舐めてミソ(笑)。」
「少しだけでもはっきり主張してますな(笑)。抜栓して10日経ったブルゴーニュのピノ・ノワールはこんなに持たない(笑)。」
「香りの立ち方はマーベラス(笑)!」
「凄いですね。別に樽なんか使わないでも勝負してるのも立派(笑)。自信があるんですね。」
私「斬新な今風なんでしょうけど、樽や手先のテクニックで乗り越えていません。酸と果実味で正々堂々と乗り越えています。」
家内「全房醗酵、しかもフリーラン・ジュースのみで造っている点はクラシックの何者でもないのですが、この価格で実現しているのが画期的です(笑)。
私「ジェレミ・ムーラは120ヘクタールの大きな葡萄園です。それでいてこの高品質を実現しているのは凄い。だってチリやオーストラリアなどの大農園でこんな高品質のワインは造れません。大農園だと大量生産には適しますが、高品質は無理。でもジェレミ・ムーラは乗り越えたようです。イノヴェーションしてますね(笑)。
ありがとうございました。
桝久商店 岡本利秋・昭子
Written on 2015 05 25
マスキュー試飲会レポート 201505
May 25, 2015 by weblogland |ここを↓クリックして頂けると励みになります。ブログランキング参加中。ご協力お願いします。
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