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昨日は台風の中、お越し下さいまして、まことにありがとうございました。
お客様も台風がひどくなる前に早々とご来店された方と、台風は気にしない(笑)方に別れたようです(笑)。また、わざわざ行けない故ご連絡くださる方など、マスキューが愛されていると実感いたしました。昨日は本当にありがとうございました。
まず、最初のボルドー赤の2009年二種。ボルドーACのシャトー・オームリナとボルドー・スペリゥールACのシャトー・ラモテ・カステラです。
私曰く『2009年はワインにストレスがなく、良い作柄だったようです。』
『どっちも飲みやすいですね。どちらかというとラモテの方が甘くてイイかな。ところでワインにストレスがないってどういうことですか?』
私曰く『味わいでは水っぽさがない。妙に酸っぱくない。刺すような苦みやアルコール感がない。などですか。それは天候の影響で、収穫期に雨が降ったり、夏の日照が足りなかったり、夏が暑すぎたり、などのイレギュラーな天候の結果がワインの味わいとして反映されます。』
『なるほど!そうすると2009年のワインは良いと。』
『ボルドーでも、今飲んでいただいているアントゥル・ドゥ・メールは間違いなく良いと思いますが、まだ右岸左岸の大物はリリースされていませんから、ボルドー全体は分かりません。でも期待は出来そうです(笑)。』
『それではアントゥル・ドゥ・メールに限ると2005年を上回る出来ですか?』
かなり鋭い(笑)。
私曰く『そこまでの凝縮感はありませんね。2000、1996年に近いですか。生産量も多そうですね。』
ところでラモテの味わいなのですが、甘さがありタップリして柔らか。いかにもメルロらしい味わいなのですが、実はカベルネ・ソーヴィニヨンが80%なのです。これには皆さんビックリ!
『えっ!カベルネが80%も入っているんですか!まるっきりメルロの味ですよ(笑)!』
私曰く『そーなんです(笑)。やはりカベルネらしいカシスの味わいは限られたあの地域しか出ないようです。』
『そーだよね。オーパス・ワンなんかカベルネの味しないもんね(笑)。』
さすが良く飲んでいらっしゃる!
『私はオー・ムリナの渋いタンニンが好きなのですが…。』
私曰く『確かにタンニンの質感は良いですよね。こっちの方がカベルネが入っている感じがしますね。』
好みもちょっと別れましたが、皆さん共通して2009年には好印象を持たれたようです。
さていよいよシャトー・モン・ペラの2007年と2008年の比較です。抜栓直後は2008年の甘さが2007年を圧倒します。
『こんなにも違うんですね!2008年は甘くて飲みやすいですが、2007年は苦い(笑)味だけじやなくて香りも苦い。なぜですか?』
私曰く『木樽由来のタンニンが葡萄由来のタンニンに勝っているからです。あまり心地好いものではありません。』
ところが抜栓後4時間ほど経つと2007年がバランスを取り戻してきます。
『今飲むのなら、2007年の方がイイんじゃない。ボルドーらしくて好きだよね。2008年は甘くて飲みすぎちゃうな(笑)。』
ワインのポテンシャルからすると2008年の方が上ですが、すぐ飲むには2007年とするべきなのですね。ワインの価値は一通りではないのです。
さてピックプール・ドゥ・ピネです。
『酸っぱいけど、爽やかで華やか!イイなぁ。まさに女子向け(笑)。』
『初めて飲む品種。ピックプールなんて名前も可愛い。』
女性に大人気(笑)。
ロワールだとミュスカデやグロ・プランで大西洋のカキを食べますが、南フランスではピックプールで地中海のカキを食べるのがベストかも知れません(笑)。
『そーいえばこのまえ「そごう」のオイスターバー行ったけど、色んな産地のカキがありましたね。ちなみに北海道のカキにはミュスカデとピックプールのどちらが合いますかね?』さすが食通!
私曰く『北海道は寒いですからロワールのミュスカデの方があいますかね?』
私曰く『でもピックプールは明日になると別のワインのようになります。酸っぱさよりもふくよかさが全面に出ます。ですから今の状態でしたら冷やした方が良いですが、明日に飲むなら常温くらいが良いかもしれません。不思議なワインです(笑)。』
さて今日のトリは『マッカニャーノ』白ワインです。計り知れない力を知るため抜栓後まる5日たった同じワインと飲み比べていただきました(笑)。
私曰く『このワイン、ヴェルディッキオ・ディ・マテリカといいまして2010年からDOCGに昇格しましたが、産地は小さく生産量も少なく日本へはほとんど入ってきませんでした。古代から伝わる品種で、造りもプリミティブ。このマッカニャーノは特醸品で良い年だけ造られます。』
『うわっ!凄い!でもフランスワインみたいに樽の香りしませんね?バランスもイイ。
五日後は?凄い複雑!旨い!』
『想像を越えてますな。いままで経験したことのないワインです。』
私曰く『そーなんです。私も初めての経験です(笑)。ですからこのワインの凄さを伝えるために五日後のワインと合わせて飲んでいただくことにしました(笑)。』
『なんで五日後にはこうなるんですか?これは極上の和食レストランでいただきたいですね。』
『五日後になると漢方薬やらスパイスやら杏やアーモンドの香り。八角なんかも。』
『中華料理にも合いますね!』
五日たってもまだ底が見えない凄さに、一同ビックリのワインでした。
イタリア恐るべし!
台風の中、どうもありがとうございました。重ねて御礼申し上げます。