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Written on 2015 04 27

マスキュー試飲会レポート 201504

Apr 27, 2015 by weblogland |
昨日、一昨日とマスキュー試飲会にご来店いただきありがとうございました。夕方、過度に集中することなく無事終わることができました。ご協力ありがとうございました!
のっけからスミマセンが5月の試飲会は22・23日となります。いつもより一週早まりますのでご注意くださいませ。


◯イェマヌエヴァ アイレイン 2013年 ボデガス・ラ・テルシア スペイン 白 750ml 1471円税込み

「梨 洋梨かな。桃っぽさもあるね(笑)。スペインの白ってこんなにフルーティーで飲みやすかったんだ?」
「これからもっと暑くなってきたら、ガンガンに冷やしてグビグビ行きたいね(笑)。」
私「昔のスペインでは考えられないフレッシュ&フルーティーです(笑)。技術の進歩 温度管理が完璧だからこそ。」
「マスキューさん、ラベルに書いてある『アイレイン』って品種ですか?初めて飲みますが、地場品種ですか?」
家内「ラ・マンチャではよく造られてます。ただスペインでもっとも栽培されている品種でもあります。」
私「この『アイレイン』がよく知られていない原因は、主にブレンド用の安価な葡萄だからです(笑)。スペインでは一番沢山造られているんですが(笑)。」
家内「ですから、ラベルにわざわざ『アイレイン』を大きく記載したりしません。」
「だからアイレインは無名なんだ(笑)!でも、このワインは大きく記載してますよね?なんで?」
「はっはっ~。そこがミソかな(笑)?」
私「ご推察の通り(笑)!このワインの生産者の意図でございます(笑)。アイレインに対する思い入れを感じます。」
家内「フィロキセラの被害にあっていない自根の葡萄樹が残っているとか 100年の樹齢を越すとか。」
私「樹というよい瘤(笑)。」
「そんなに葡萄樹って持つものなのですか?」
私「手入れをよくして、葡萄果を沢山成らさなければ持つようです。地面に水分が少ないですから、基本的に出来る葡萄も小さく少ないことも作用しているようです。日本だと10年程度が寿命のようです。」
「あー、あの辺りって草木も生えない砂漠に近い(笑)。なーんにも無い(笑)。フィロキセラだって生きていけない(笑)。」
「日本の畑みたいに石を取り除いて肥料をやって土をフカフカにしてなんてじゃなく、荒涼とした大地に生える感じ(笑)。」
私「逆に環境が厳しい分、化学肥料に頼らなくとも栽培が可能でもあります。乾燥してますからカビも発生しませんし、病害虫は風に吹き飛ばされる(笑)。」
家内「ただし単位面積あたりの収穫量は少ないので、マンパワーが必要です。効率は良くありません。」
私「あと、暑い産地のワインですから決定的に酸が少ないです。本日二番目、三番目の白ワインと比べると物足りなく感じます(笑)。比べないよう(笑)。」
「ホントだ(大爆笑)。」
「比べちゃいけない。可哀想だ!」
「用途も違いますしね。」
愛情・好奇心豊かなワイン・ラヴァーは懐が深い!


◯『レ・アビーム』2013年フィリップ・ラヴィエール フランス ヴァン・ド・サヴォア 白 A.O.C.750ml 1647円税込み
「おっ!このワイン広がりがスゴい!鮮烈だなぁ。」
「余韻が長くて強い!立派(笑)。」
私「スパーンと直接的に突き抜けますよね(笑)。」
「最初に飲んだスペインのワインみたいなフルーティーさとは全く違う。冷涼な感じがあるよね。」
家内「最初のスペインの白はアルコール分は12.5%でこのワインは11.5%です。」
「へぇー、アルコール分は低くても密度感はこっちの方がある。これが酸の多寡なんだな。」
「圧倒的だよね。」
「『レ・アビーム』ってドイツワインに近いスタイルかな?」
「サヴォアのワインって初めて飲みました。あまり見かけませんよね?」
私「はい。内陸部なので海外に輸出するには陸送費がかさみます。そのため地元とスイスで消費されます。」
「あっ、そうか!レ・マン湖がすぐ近いよね(笑)。」
「スイスは物価が高いからフランスに買い出しに行くみたいだしね(笑)。」
「このワインは食べ物は何に合わせますか?」
私「定番だとチーズ・フォンデューですね。チーズ単体だとコンテかな。」
家内「思いきって癖のある川魚!きっと鮎なんか合いますよ(笑)!塩焼きにレモンを搾ったら完璧なはず。」
私「アワビの肝なんか試してみたいですね(笑)。」
「かにミソもいけるかな(笑)?」
私「割りと濃厚なものに合いそうですよね。」


さて、白ワインのトリ。本日白のトップ・セラーとなりました。
◯ヴェルディッキオ・ディ・マテリカ 『セレッツィオーネ』2013年 ガリアルディ イタリア マルケ D.O.C.白 750ml 1980円税込み
「あっ、濃厚!すんごいや(笑)。」
「前の二本とはレベルが違いますね(笑)。かなり複雑だし。」
家内「時間が経つと様々なニュアンスが出てきます。」
「柑橘類の塊っぽいけど(笑)、ナッツィーなアタックが心地好いね。オレンジっぽさもあるかな?」
私「たしかに!アーモンドっぽさがありますよね。あと塩辛い(笑)。」
「そうそう、塩辛い。塩辛いついでに海草っぽい。」
私「ヨードっぽいですよね。」
「ディテイルが複雑ですし、全体の大きさが立派ですよね(笑)。暑い産地なのですか?」
家内「イタリア中部ですから暖かいには暖かいのですが、標高の高い山間に畑はありますから寒暖差が大きいですね。海岸部で有名なイエージと比べるとこのマテリカの方が締まりがあります。」
私「ちなみにアルコール分は13.5%。今日の白ワインの中では一番高いです。このくらいまで糖度が上がって収穫するのがベストなのです。やはり暖かな産地です。ただし暖かな産地にありがちな凸凹がワインに無い点が秀逸かと(笑)。」
「このワインは凄く甘く感じますが、これは糖分なのですか?」
私「未醗酵の残糖分ではありません。アルコール醗酵の際に出来るグリセリンかと。」
「糖分とグリセリンの違いは?」
私「鋭い質問です(笑)。糖分の場合舌の先の方で感じますが、グリセリンの甘さは口の中を膨らませるような甘さです。あと、糖分の甘さのようにベタつきません。」
「マスキューさん!このワインは『ドンナルーチェ』に共通すると思いませんか?」
私「おー!さすが良くお気づきで!たしかに。このワインも技術革新の賜物ですよね(笑)。」
「食べ物は何に合わせますか?」
家内「(待ってましたかと言わんばかりに)あさり!魚介類とは相性良いですよ(笑)。パエリアなんかも良し(笑)!」
「ケーキなんかのデザートにも合いそう(笑)。」
家内「アーモンドをクラッシュしてまぶしたケーキなんか良いですよね(笑)。」
私「クリーム系はOKですね(笑)。」
「ますますドンナルーチェと共通しますな(笑)。」


さて、続いてはクラシックなボルドーです。
●シャトー・クロノー 2013年 フランス 赤 ボルドー・スペリュールA.C.750ml 1740円 税込み
「おー、タンニンが凄い。でも意地悪じゃないね。」
「昔、良く飲んだ渋い味わい(笑)。でも割りと綺麗だよね(笑)。」
「こんなに特徴的なボルドーA.C.ワインは初めてです。これはボルドー・スペリュールA.C.ですか。このクラスの括りでも個性があるんですね。」
私「細かな産地の特徴が出ているのが好ましいかと。ただし地図で探すに老眼が邪魔して大変でした(笑)。場所はボルドー最北東、ベルジュラックに近いところです。」
「うーん。このタンニンの下に旨味が隠されてるな(笑)。」
私「タンニンに質感があります。今風のひたすら飲みやすくしたタンニンとはちょっと違うと。」
「質感たっぷりだけど硬質じゃないよね。」
家内「昨日抜栓しましたが、丸一日経って良くなってきました。」
「しかも、ボルドーでビオって珍しいですよね?」
「ワインの味わいはビオビオしてない(笑)。あの独特な臭さはないですよね。」
私「もともとのワイン造りの発想がビオを目指していた訳ではないような気がします。良いワインを造る過程でビオの認証を取れるレベルの低農薬・低SO2添加を可能にしたような…。何よりも作為的でないのが喜ばしい(笑)。」
家内「このシャトー自体15世紀までさかのぼる歴史がありますが、1990年代に取得した現オーナーによる投資の成果のようです。」
私「『どうだ、俺のタンニンを見てくれ!』ってワインが言っているような気がするんですよ(笑)。」
家内「解りやすくないですが(笑)。」


さて、本日の大本命の登場です(笑)!
●『カルト・マロン』 ヴィエイユ・ヴィーニュ 2000年 ドメーヌ・マズール フランス 赤 コート・デュ・ローヌ 750ml 1850円税込み

「旨いなぁー!じんわり甘くて優しい。なにより美しいなぁ。」
「癒されますなぁ。欠点がない(笑)。」
私「抜栓後丸一日経った今が完璧ですね(笑)。コート・デュ・ローヌのあるべきすべてが感じられます。」
家内「腐葉土、ベーコン、熟したプラムやブラック・チェリー、柿、アーティチォーク、チョコレート、煙草、ヨードやミネラルが案配良く調和してます。」
「マスキューさん。この下のキュヴェ『レ・プラド』が好きで散々飲みましたが、『カルト・マロン』の方が上ですね(笑)。ところでマズールは何故こんなにも古いワインを持っているのですか?」
私「もともとローヌのワインは熟成に時間がかかるため、大樽で長期保存熟成させる習慣があったようです。また、そうすることでワインに付加価値が付きますし、不作で収穫の総てを失っても売るワインがありますからリスク回避にもなります。」
「最近ボルドーワインでも似たようなリリースがされますが、これも同じですか?」
私「比較的安価なボルドー・オールド・ヴィンテージが市場で良く見かけられます。味わいとしてはたしかに落ち着いてはいますが、熟成はしていません。熟成したというより熟成を止めて保存させたワインです。飲んでみると違和感を感じます。インチキ臭いですね(笑)。」
「でもマズールの方は熟成感があり、ボルドーの件のワインは熟成感がないのは何故ですか?」
「鋭い質問です(笑)。ボルドー品種は熟成のスパンが短く早い。バリックのような小樽熟成が向いています。逆にローヌのワインは大きな樽でゆっくり熟成させるのが向いているからです。」
「でも、グルナッシュなんかは熟成が早く熟成に向いていない品種ではないのですか?」
私「でも、ちゃんと造ったグルナッシュは長期に持ちます。それでも、コート・デュ・ローヌのグルナッシュでマズールのように長熟するグルナッシュは、あまりないのはたしかかな(笑)。」

良心的な価格で熟成した本物を飲ませてくれるマズールに拍手!


さて、本日のトリは将来のビッグ・ネーム
●ベラ・ヨシュカ ブラウフレンキッシュ アイゼンベルグ2012年ヴァイングート・ヴァハター・ヴィースラ オーストリア ブルゲンラント アイゼンベルグD.A.C.赤 750mlスクリュー・キャップ 750ml 2453円税込み
「うわっ!滑らか!オーストリアのワインって面白い(笑)。独特。でも癖じゃないんだよね きっと。」
「旨味やら何やら沢山有りそうだな(笑)。」
家内「このワインも抜栓してから翌日になってから本領を発揮します。抜栓直後は果物の香りがすぐに出ませんね。」
私「最初はフラットな感じがしてやや物足りなく感じるかもしれませんが、時間が経つと果実味が溢れてきます。ブラムやスモモなどディテイルのはっきりした味わいは素晴らしい。」
「比べると凄さが分かりました(笑)。余韻の長さも素晴らしい。以外な出方ですよね(笑)。」
「品が良いよね(笑)。実直な感じは好きだな(笑)。」
「でしゃばるところが無い。日本人向きかな(笑)。香りプンプンでマッチョなワインより好きだな(笑)。まあ、好みだけど(笑)。」
家内「オーストリアの赤はいくつもティスティングしましたが、これが一番バランスが良かったんです(笑)。」
「オーストリアって白ワインばかりだと思ってましたよ(笑)。」
私「割りとバランスがとれていない赤ワインが多い(笑)。ですからこれは近い将来のスターになるはずだと(笑)、期待しております(笑)。」
「でも、スターになったら手が出なくなる(笑)。」
「ところでこの赤ワインの品種は何ですか、地場品種ですよね?」
家内「ブラウフレンキッシュと言います。ちょっとガメイに似てますか?」
私「本日の私の目標は『ブラウフレンキッシュ』を噛まずに言えること。でも駄目でした(笑)。くやしー!」

お忙しい中、足を運んでくださりありがとうございました。


桝久商店 岡本利秋・昭子

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