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昨日はご来店ありがとうございました。

Oct 30, 2011 by weblogland
まずはイタリア、ウンブリアの『ヴィプラ・ロッサ 2009年』です。
「おー!カッコイイ!」
「いかにもイタリアですな(笑)。洒落てますよね。」
私「でも何本か、センターにあるべき蛇の紋章がズレています。このアバウトさもいかにもイタリアン(笑)。」
「そうそう。詰めの甘さがあるんだよね(大爆笑)」
さて味わいは?
「メルロ70%ですか?でもメルロの味がしませんね(笑)。ブラインドでやったら絶対に解らない。」
私「そーなんですよ。メルロのプラムの香りがしないんですよ。どちらかと言えばラズベリーやワイルドベリーの香りなんです。そうすると10%入っているモンテプルチアーノ種の香りに由来しているとしか思えません。」
「そーですな。あと入っているグルナッシュの香りではないですね。不思議ですな?」
「私は柔らかくてイイと思いますね。素直さが可愛い(笑)。」
とは言え、抜栓後2時間ほど経つとプラムの香りが出てきました。
「あー。とってもジューシー!イイわねコレ(笑)。」
「ちょっと軟弱な気もしますが…。」言葉に出せない貴兄、お気持ち察します。
やはりルックスと物腰の柔らかさは女性にモテる必殺技でした(笑)。さすがラテン!

さて次はスペイン、ナバラの赤ワイン『ゼゼン』です。干し杏の味わいが郷愁を誘います。
「あっ!柔らかで深い!キメが細かくて濃密。」
「そうそう、確かに干し杏だけど(笑)、かなり複雑に感じる。」
私「このワインいわゆるバスク地方のワインなのですが、昔のバスクワインのイメージとは違います。どうしようもないほどの頑強さがありません(笑)。ニュースタイルと言えます。」
「うーん。広がりはあるし、余韻も綺麗。」
「クリア過ぎない良さがあるね(笑)。」
私「そーなんです。果実味だけが突出していません。ニューワールドの今風のワインとは違います。」
「このワインはテンプラリーニョが多く入っているみたいですが、どの部分がテンプラリーニョの香りなんですか?」
私「テンプラリーニョは解りにくいんですが、寒暖差のある産地のものはりんごっぽいニュアンスがあると思います。やはり酸が残っていないとダメみたいです(笑)。」
「ところでラベルに描かれているのは牛ですか?」
私「そーです。牛です。バスクの人々は伝統的に牛肉を焼いて食べることを好みます。ですから、このワインも牛肉のローストに合わせてみたいですね。」

さて懐かしいクラシック・キャンティの登場です。『カイノーザ』 キャンティー・コッリ・セネージ 2008年です。
「前の二つと比べると熟成が進んでるみたいですね。」
家内「サンジョヴェーゼは色が抜けるのが早い傾向があるんですよ。色の割に味わいの熟成が遅かったりします(笑)。」
「おー、確かに!そんな感じ。色合い以上に若い(笑)。」
私「でもこのキャンティ臭いでしょう?土や鉄のニュアンスが強いです。私は結構好きなんですが、好みの別れるところだと思います。」
「私は好きだな。飲み飽きしなさそうだよね。」
「ところで、キャンティってサンジョヴェーゼですが、サンジョヴェーゼの味わいって何ですか?」
私「ベースの香りはオレンジです。オレンジの風味を意識して捜すと解りますよ。」
「あー!確かにオレンジがある(笑)。資格試験の勉強なんですが、なかなかテイスティングは独学じゃ難しいんです。助かります(笑)。」
私「高いスクールに行かなくとも、マスキューの試飲会に来れば自然に覚えられますよ(笑)。」

さてさてこれから後半戦です。南フランス・ラングドックのドメーヌ・フェリーヌ・ジョルダンの登場です。まずは2008年に初リリースされた赤からです。
「うわっ!こりゃ凄い!濃い!」
「でも飲みにくくない!?意地悪さがない。」
私「濃密さはネクターですよね(笑)。それでいてとてもエレガントなのです。」
ここで、本日参加して下さった輸入元の『ザ・ヴァイン』の鈴木さんがipadを持参してドメーヌの写真を見せて下さる好フォロー(笑)。
「へぇー、本当に水辺に葡萄が植わってる(笑)!」
「浜名湖の湖畔で葡萄栽培するようなモンですね。あそこも塩水入りますしね。」
鈴木さんがお土産で持ってきて下さった、柚子胡椒を練り込んだパンとこの赤ワインの相性もグッド。シラーのスパイシーさとマッチしました。
「だんだん海藻や塩辛さが出て来た!やはり塩水の影響ですかね?アイラモルトっぽい(笑)。」
私「葡萄果粒の種のタンニンが完熟したり過熟して葡萄果汁に溶け込むとフェノール臭がします。非常にワインを複雑にしています。」
時間の経過とともにペパーミントなどの香りも現れるシラーらしさ全開です。
「こんなに滑らかで飲みやすく、しかもシラーらしい味わいは初めてです。」
ドメーヌ・フェリーヌ・ジョルダン衝撃のマスキューデビューです!
試飲会の後で気がついたのですが、この赤ワインどこかの赤ワインにスタイルが似ているのです。
そうです!
アンリ・ジャイエのワインなのです。
濃密さにハイパーな密度感と、全方位に香りが強いベクトルで放たれるようになれば、まさにラングドックのアンリ・ジャイエになれます。
なれるかも?
なれたらイイな。
言い過ぎですかね(笑)。
良く考えてみたら、ジョルダンはかなりの低温でマセラシオンを行います。この点ジャイエと同じ。あと雑味がなく液体に曇りがありません。ラングドックにありがちな真っ黒い味わいのスタイルではなく、赤い明るさがある点秀逸です。突出したワインであることは間違いありません。
少なくともこのままあと数年したら、ラングドックのトップスターには必ずなるはずです!
この7000本のみのファースト・リリースの赤ワインは伝説になるのでは?

そして、最後の赤ワインは愛しのシャトー・モーカン2003年です。強烈なジョルダンの後で大丈夫か?
「これは旨い!良いボルドーだ!」
「まさに今ピークですね(笑)。何度も同じワイン飲みましたが、これほど伸びるとは…。底力ありますね。」
私「古酒になる前の一回目のピークですね。このワインを愛して余分にストックしてて本当に良かった(笑)。」
「あと何年後に古酒になるのですか?」
私「解りません。ある日いきなり古酒になるんです(笑)。」
「古酒になると味わいは変わるのですか?」
私「はい。変身するかのようです。昔シャトー・パフ・クレマンの1976年の古酒をブルゴーニュに間違えました(大爆笑)。ブラインドでは絶対に当たりません(笑)。」
私「あの強いジョルダンの後でも全く別の世界を見せますから、ビックリしました。エレガンスは力に勝る。うーん。モーカンには力に負けないエレガンスがあるというべきかも。」

さて最後にはドメーヌ・フェリーヌ・ジョルダンの白2010年です。
なぜ本日の一番最後にしたか、皆さんご納得いただけましたか(笑)?
「あっ!これも赤に負けない濃密さ。トロッとしてる(笑)。香りももの凄い。トロピカル。」
「そうそう万華鏡(笑)!」
「すべてが巨大(笑)。こりゃ説得力十分だね。今年のマスキューさんの試飲会は白が多かったけどベスト5には入るね(笑)。」
私「ありがとうございます。そう言っていただいて恐縮です。今年の試飲会で取り上げた白ワインを振り返ると、マロラクティック発酵をしないで、低温管理が徹底したワインを結果として多く扱いました。特に暖かい地方の地場品種を使ったワインのバラエティーは、目を見張るばかりでした。トレンドなんですね。」
「私はルーサンヌだいぶ飲みましたが、大体が線が細くシャバイものばかりでした(笑)。これも同じルーサンヌとは思えません。」
私「確かに。私もルーサンヌがこれほどのポテンシャルがあるとは驚きました。技術の進歩と栽培の尽力はワインの可能性を伸ばすんですね。」
「そうすると無理に木樽使う必要がなくなるかもしれませんね。」
私「逆にごまかしは効かなくなりますから、良いことになるかもしれませんね(笑)。」

赤・白とも衝撃のドメーヌ・フェリーヌ・ジョルダンでした。飲むべきワインです。

それではどうもありがとうございました。
鈴木さん、休みの日にわざわざありがとうございました。
皆さん!私が無理に呼んだ訳じゃありませんから、誤解のないよう(笑)。

失礼いたします。

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