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ドニャ・パウラ マスキュー的考察

Nov 18, 2012 by weblogland
先日アルゼンチンのドニャ・パウラの醸造責任者デヴィット・ボノミさんがマスキューに来てくださいました。著名エノロゴ ステファン・ガンドリーノの後を受け去年から醸造責任者となったとのこと。このおり、ドニャ・パウラの現在の有り様や、目指す方向性など最新の話をしてくださいました。アルゼンチンのワイン生産スタイルを理解する良い機会となりました。リポートを含めちょっと考察したいと思います。

今や世界第5位のワイン生産国アルゼンチン、その全体の80%がメンドーサ州で造られています。中でも優良な産地はルハン・デ・クージョ(セントラル)を中心に、ノース、イースト、セントラル、ウコ・ヴァレー、サウスの5つのサブ・ゾーンが設定されています。(セントラルから畑が広がった結果のようですから、まだこの先サブ・ゾーンが広がる可能性が大です。)
ドニャ・パウラもセントラルのウガルテックに畑と醸造所を持ち、南隣のウコ・ヴァレーのトゥプンガトに畑を所有するようになったようです。現在は同じウコ・ヴァレーの南西端アンデス山脈の際にグァルタラリーとサウスのアルタミラに畑を所有しています。なんと総面積704ヘクタールだとか。40名の栽培責任者が分担して管理しています。ちょっと考えられない効率の良さです。

平らな土地に葡萄だけが整然と植えられている畑ですから作業効率が良く、しかも雨は200mlほどしか降りませんからアンデスの豊富な伏流水を集中管理することで潅漑も完璧です。また、基本的に農薬を撒く必要もありませんから余分な手間がかかりません。(場合によってボルドー液等は使うようですが。)冬に堆肥を撒く程度のようです。

また、日照が強いため葡萄樹の仕立てが高く葉を十分繁らせる必要があります。このため畝間も広くとりますから細かな剪定作業も行う必要がないようです。さらに害虫もつきませんから葡萄果は健全にかつ均等に生育しますのでグリーン・ハーベストや摘果摘房の必要もないようです。驚くことに撰果もほとんど必要ないようです。夏場の雹を防ぐネットを張ることと、春先に吹く風速80メートルにも達する(世界3大突風とのこと。)アンデスから吹きおろす突風に備えて針がねや潅漑用ホースを支える支柱を強固にすることくらいが余分な手間のようです。

ただでさえ土地は広いですし、超効率的な管理が可能ですから葡萄栽培地は広がる一方です。「逆にテロワールが無い同じようなつまらないワインが大量に造られる可能性もありますね?」と聞いたところ、畑をボーリングして徹底的に調べると言っていました。

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