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桝久 試飲会リポート

Mar 31, 2014 by weblogland
昨日、一昨日とマスキューの試飲会に足をお運び下さりありがとうございました。
土曜日の夕方は相変わらずのピークタイムになってしまい行き届かなくなってしまいました。お許し下さいませ。

まずは春らしくロゼ・スパークリングです。
クレマン・ド・ブルゴーニュ N.V. ガロデ・フレール・エ・フィス フランス ブルゴーニュ 発泡性 ロゼ 750ml 2700円税込
「やっぱりブルゴーニュのピノ・ノアールって良いですなぁ(笑)。」
「色がイイねぇ(笑)。いかにも春。」
「でも軽くはないですね。しっかりしてるよね。さすがピノ・ノアール(笑)。旨いよね。」
「ピノ・ノアールって飲むと幸せになれますよね(笑)」
家内「あまり冷やさずに飲んだ方が良いようです。」
「なるほどね。冷えすぎると膨らみが無くなる。何度くらいが良いですか?」
家内「ビールみたいに冷やすと駄目です。10度以下にはしない方が良いかと。」
「クレマンだからシャンパーニュよりガスは低いけど、厚みがあるよね。やっぱりポール・ガロデだからですか?」
私「はい。通常の収穫量を比べてもシャンパーニュよりブルゴーニュの方が低収量ですから、普通に造ったブルゴーニュならば通例のシャンパーニュより濃いジュースが得られます。」
「だったらシャンパーニュよりブルゴーニュの方が良いスパークリングワインが出来ると言うことですか?」
私「ただ、ブルゴーニュだと糖度が高過ぎるので、逆に造るのが難しくなるようです。」
「暖かくて葡萄が良く熟せば良い訳じゃないんですね?」
「はい。そこが難しいところです。瓶内熟成したスパークリングワインはガスを得るために糖分添加します。これでガスを二次醗酵して得ますが、同時にアルコール分も上がります。ガスを得るために過剰に糖分添加すると、原料ワインが本来持っている酸とのバランスが悪くなります。ですから瓶内二次醗酵したスパークリングワインは寒くてあまり糖度が上がらない産地が向いています。」
「そうするとあまり糖度が上がらない日本でも良いスパークリングワインが出来る可能性があるんですか?」
私「はい。あとアマローネしたり、工夫の余地がまだあるかと。」
「でも、雨が多すぎますか(笑)?」
私「考えようで、雨がまったくないよりは良いかもしれません。砂漠でワインを造るより、日本でワインを造る方が楽かもしれませんね。」
家内「あとコストの問題があります。」
「日本だと大規模化が難しいですもんね。」
「マスキューさん、TPPに入ると日本の国産ワインは駄目になりますか?」
私「ヨーロッパの真似をしただけのワインは無理かと。オリジナリティーのあるワインなら大丈夫とは思いますが。」
家内「心情的には国産ワインを応援したいのですが、セレクトショップのマスキューとしては…。」
私「昔、だいぶ国産ワインを棄てて流しました。」

お客様の意識の高さを感じました。


さてこれより中欧のワインです。
トカイ フルミント ドライ 白 2012年 シャトー・デレスラ ハンガリー D.H.C.トカイ スクリュー・キャップ 750ml 1305円税込
◯グラシェヴィーナ セレクテッド 2012年 イロチュキ・ポドゥルミ 白 クロアチア ポドゥナウリェ生産地域 イロク地区 上級ワイン スクリュー・キャップ 750ml 1610円税込
「ハンガリーとクロアチアですか。マニアックなワイン探しましたね(笑)。ところで品種なんですが、トカイはフルミントでクロアチアはグラシェヴーナですか?」
「フルミントって名前だけでもカッコいい(笑)。」
私「ハンガリーのトカイは貴府腐ワインで有名なフルミント、クロアチアのグラシェヴーナはヴェルシュ・リースリングです。」
「フルミントは強いですね。でも甘くてふっくらしている。」
「レベル高いですよね?フルミントって独特。良いワインには違いないけど、経験したことがないから何と言えば…。」
「しっとりしていて、しかも強い。粘りがある?」
家内「温度を下げすぎると酸っぱさが目立ちます。ですから常温で出しています。」
「フルミントは確かに強いけど、複雑さがありますよね。柑橘系の香りに桃やブラムのニュアンスもある。」
「あと、ミネラルっぽい固さが特長的。」
「クロアチアのほうも基本的にはフルミントに似ているけれど、凄く深い。」
「旨味。お茶とかスパイスが…。経験したことのない味。」
家内「エスニックなスパイスかな。」
「中国とか東南アジアの味かな(笑)。上手く表現できないけど。」
「酸っぱいんだけれど、酸っぱくない(笑)。酸っぱさに反応して涎が出ると言うより、心地よくて涎が出るみたいな(笑)。」
「ハンガリーもクロアチアもオーストリアのグリューナー・ヴェリトリーナーに共通するかな?」
「この酸っぱさは旨味ですよね?」
私「旨味も酸味です。思わず涎が出ちゃいます(笑)。日本人の嗜好に合いますよね。」
「焼き鳥を潮で食べながら飲んだら合う!焼き豚でも良し!」
家内「レモンを搾ってかければ完璧(笑)。」
「アスパラとかネギ焼きでも合いそう(笑)。」
「クロアチアの方は特に植物やミネラル感が強いから野菜に合うよね。」
「肉だって豚肉だったらちょうど良いよね。」
「豚肉の野菜炒め(笑)!」家内「中欧のワインってオリーブオイルやバターより胡麻油やサラダオイルに合う感じですよね。肉だったら鶏肉や豚肉の脂ですよね。」
「あれ?クロアチアって地中海沿いですよね。ドブロクニコでしたっけ、地中海の真珠でしたよね?」
私「はい。地中海から内陸部まで「くの字」の形の国土です。海岸部はアドリア海を隔ててイタリアですから似たような気候です。でも、このワインは内陸部の北東にあります。ハンガリーに近いところですから、寒暖差の大きな大陸性の気候です。」
「旧ユーゴスラビアですな。ハンガリーもクロアチアも今はEUに加盟してますよね。」
私「EUの資本が入るようになって葡萄栽培も復活したようです。ようやくコストパフォーマンスの高い素晴らしいワインが出始めました(笑)。」
家内「もともとがオーストリアハンガリー帝国でしたから、ワイン造りの歴史は永く、しかもポテンシャルも高い。」
「確かに!品が良いですよね(笑)。
「帝国の逆襲(笑)?」
「なるほどね。フルミントの辛口って昔は無かったでしたよね。」
私「はい。最近リリースしたようです。オーナーがシャンパーニュのハイパー・エドシックですから。」
さてここで、慣れ親しんだイタリアワインと中欧のワインを比べることにしました。
ヴェルメンティーノ・ディ・サルデーニャ 2012年 パーラ イタリア 白 サルデーニャ島 D.O.C.750ml 1710円 税込
「慣れた味(笑)。香りが良いよね。でもハンガリーやクロアチアのワインとは全然違うよね。」
私「このパーラのヴェルメンティーノは締まりがあってとても好きです。イタリアらしい白ワインかと。」
「これ飲むと合わせる料理はイタリアンだよね(笑)。オリーブオイルやトマトが頭に浮かぶ(笑)。」
「フルミントやグラシェヴーナはパーラのヴェルメンティーノとは異質ですよね?ヴェルメンティーノは暖かさがあるけど、フルミントやグラシェヴーナは冷涼さがありますよね。」
「そうそうフルミントやグラシェヴーナは色にグリーンが入っているけど、ヴェルメンティーノは黄金色(笑)。しかもギラギラしてる(笑)。」
「香りの出方も全然ちがいますよね?」
私「ヴェルメンティーノはまさにアロマチック。黙っていても香りが立つ感じ(笑)。フルミントとグラシェヴーナは口に入れてから出てくる感じですよね(笑)。」

さて、続いては中欧の赤となります。
カピストゥラニ・ツルニ セレクテッド 2012年 イロチュキ・ポドゥルミ 赤 クロアチア ポドゥナウリェ生産地域 イロク地区 上級ワイン 750ml 1890円税込
●『ベラ・ヨシュカ』ブラウフレンキッシュ アイゼンベルグ 2011年 ヴァイングート・ヴァハター・ヴィースラー オーストリア ブルゲンラント アイゼンベルグD.A.C.赤 750ml 2160円税込 スクリュー・キャップ
「あれ?タンニンが軽い?でもしっかりしてる?こんなワインあるんですね?」
「クロアチアの方はベリーや桃っぽさがあってボジョレーに似てるかな?でも香りの立ち方が違うかな。」
「軽いけど薄くない?」
「軽いけど、弱さがないよね。良く飲むイタリアやボルドーのワインとは違う。」
「一言で言えば旨口かな。白ワインと共通の旨味があるよね。」
「広がりも綺麗。タンニンが濃ければ良い訳じゃないんだ(笑)!」
私「無理な抽出をしていませんよね。この点プリミティブですよね。」
「でも『ベラ・ヨシュカ』は重ったるくはないけど、凄く強くて深い。これってフルボディーって言って良いのですか?」
私「渾身の造りだとは思いますが、基準がちがいますよね。どちらの赤も牛肉のための赤ワインではないような気がします。」
「香りの立ち方もイタリアやボルドーとは違いますよね。どちらかと言えばブルゴーニュかな?」
家内「雑味がないですよね。無理にプレスしてない感じです。透明感が素晴らしいですよね。」
「木樽熟成はしていないんですか?」
私「どちらも古い大樽で一年ほどします。」
「全然樽のニュアンスがしないよね。」
私「樽の使い方の発想が違いますよね。文化の違いに近い(笑)。」
家内「合わせる料理も塩辛い豚肉や鶏肉なんでしょうね。」
「そうそう。ハンガリーで食べた豚肉料理は塩辛かった(笑)!」


ありがとうございました。

岡本利秋・昭子

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