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桝久試飲会のリポート 後半 201702

Feb 28, 2017 by weblogland
後半戦のトップ・バッターはクラシックなボルドーの赤!
シャトー ラ・コーヌ ヴィエイユ・ヴィーニ 2014年 フランス ボルドー 赤 ブライA.C. 750ml 2082円税込み
「マスキューさん。ボルドーなんて珍しいですね(笑)。」
「おっ!しっかりしてますね(笑)。ボルドーの何処ですか?」
家内「メドックの対岸のブライのワインです。ちなみにセパージュはメルロ95%、カベルネ・ソーヴィニヨン5%です。」
「えっ、そうなんだ。もっとカベルネ・ソーヴィニヨンの比率が高いと思いましたよ(笑)。」
私「抜栓直後は樽香が強く、硬く締まった印象があります。メドックの柔らかなメルロとはカなり違います。」
「確かにメドックのメルロより強くて締まってるよね。メルロのイメージが変わりましたよ(笑)。」
「酸も多いですよ。凝縮した果実味 熟したプラムが突き抜けたような感じかな。」
私「干して凝縮したプラムや杏子みたいな香りにハイビスカスのような酸っぱさが加わっています。お隣のブールのワインは更にこのハイビスカスのニュアンスが強く明瞭になります。」
「そー言えば、マスキューさん昔はこんなスタイルのワイン扱ってたよね(笑)。」
私「ご指摘の通りでございます(笑)。私の好むところでもあります(笑)。ただ最近はこんなスタイルのワインはあまり見かけなくなりました。
たまたま見つけましたので、ついつい仕入れちゃいました(笑)。」
「腐葉土やキノコの香りもするし、
ボルドーらしいと言えばボルドーらしいワインですよね。」
「最近のボルドーってみんなツルンとしちゃってつまらないんだよね(笑)。」
「臭いくらいの肉に合わせたい(笑)。」
家内「これで赤ワインソースを作ると良いですよね(笑)」
「ブルーベリーやプラム等のジャムを入れたら良さそうですよね(笑)。」
家内「それやってもイイですか(笑)?」


王道のキャンティ・クラシッコの登場です(笑)!
キャンティ・クラッシコ 2013年 クエルチャベッラ イタリア トスカーナ 赤 D.O.C.G. 750ml 2931円税込み
私「これはサンジョヴェーゼ100%のキャンティ・クラシッコです。」
「これってキャンティとは違うんですか?キャンティって色々ありすぎて良く解らないんよね(笑)。味にしてもどれがキャンティ味なのか(笑)?」
家内「クラシッコというと特定葡萄園で収穫された葡萄を原料にしますから、いわゆる品質保証付きキャンティと言えます。」
私「古典的なキャンティのスタイルというと、軽やかですがしっかりしている。今風ですと、すぐ飲んですぐ美味しい(笑)。」
「うんうん。高級なワイン、高級なキャンティらしい味わいですな(笑)。飲みやすいけどまだまだだね(笑)。」
「このキャンティも確かに飲みやすいですよね。」
家内「でもまだ開いてはいません。
この点クラシックです。」
私「オレンジとベリーの香りがキャンティのサンジョヴェーゼの特徴です。でも簡単に出てきません(笑)。」
「マスキューさん。このキャンティ
香りが出てないのがキャンティらしいんですか(笑)?」
私「アイタタタ(笑)。実はこれ20年くらい持っちゃうんですよ(笑)。実際には10年位してから飲むと非常に美味しい(笑)。」
家内「クエルチャベッラはアメリカで財をなした移民のイタリア人が故郷で憧れのワイナリーを作ったもの。ですからスタイルに妥協がないんです。」
「イタリア人の夢なんだろうな。成功して故郷に帰る!」
「『ゴッド・ファーザー』もそうだった(笑)。最後は故郷のシチリアでコロンと死ぬ。あれが理想なんだな(笑)。」
「ラベルにシェフの絵が書いてあるけど、何かの記念日にレストランで家族パーティーを開いた時に『これとっておきのワインだから飲もう!
』なんて感覚のワインなんだろうな
(笑)。」


さてさて、今日のトリ。問題児いやもとい問題作の登場です(笑)!
パッソ・デル・スッドゥ アパッシメント 2015年 プロゲット・ヴィニ イタリア プーリア 赤 ヴィノ・ロッソ 750ml 1758円税込み
「マスキューさん!試飲会のトリは大体高いワインを出しますよね。でも今回は前のキャンティの方が高い。仕掛けがあるのかな(笑)?」
私「はい。種も仕掛けもありありです(笑)。お飲みくださいませ(笑)。」
「うわっ!真っ黒(笑)!」
「墨汁みたい(笑)。」
「あっま~い!」
「カカオやチョコレート!」
「なにこのタンニン(笑)!物凄い分量(笑)!」
「タンニンの量は物凄いけど口に当たらない。収斂性がない。不思議?」
「とても濃いけどグビグビ飲める(
笑)。」
「経験したことない!辛口の赤ポートワインみたい?」
「そんなのあるんですか?」
「いやいや、知りません(笑)。」
「これってマスキューさん定番のカーサ・ヴィニロアのアパッシメントを更に濃くした感じ(笑)。」
私「はい。あれは一部を数週間陰乾ししています。これは全部1ヶ月ほど陰乾ししています。セパージュはネロ・ディ・トロイア40%、プリミィティーヴォ30%、メルロ30%です。」
「飲んだ感じ、確かに南イタリアの味がするけど品種の印象がない(笑)。甘さとカカオと大量のタンニンしか感じない(笑)。」
家内「時間が経つと凝縮したプラムの香りがワインの芯に感じられます。プリミィティーヴォは入っているのは解りますが他は解らないてす(笑)。」「それって混醸しているってことですか?」
私「鋭い質問です!飲んだ印象からは混醸してるとしか思えませんが、
正確なところは解りません(笑。」
「どう考えたってメルロが他と同じ収穫時期とは思えないですよね。」
私「こんどインポーターさんに聞いてみますね(笑)。」
「マスキューさん。何故こんなに飲みやすいのですか?」
私「またまた鋭い(笑)!単純に言うと酸が少ない。通常赤ワインですと1L中5g以上総酸量はあります。
酸の低いニュー・ワールドでも3gは下回りません。でも、このワインは1.7gほどしかありません。日本酒の酸が高めのもの程度しかありません。」
「それってどう言うことですか?」
家内「通常この酸度だと中がすかすかで飲めた代物にはなりません。」
「甘さが際立つのはその性ですね?」
私「はい。この点日本酒と同じです。ただしこのワインの甘さは糖分ではないと思います。翌日になると甘さが落ちます。」
「とても甘いけどベタつかないよね。くどい甘さじゃない。だからスイスイ飲めるんだな(笑)!」
家内「明日になると黒糖のような甘い香りになります。」
「このワインとても強力ですけど(笑)、余韻は割りと短いですよね?」
私「仰る通り!酸が少ないからだと思います。こんなに酸が少ない赤ワイン飲むのは初めてです(笑)。」
「私個人的に酸の低いワインが好きなんですよ(笑)。これ私の大好物(笑)。」
「アマローネが好きで何度か飲んだんですが、微妙にこのワインとは違いますよね。う~ん。アマローネって苦味があるんですけど、これは苦味がないですよね?」
私「おー、鋭い!これからは私の勝手な解釈なんですが(笑)。アマローネの苦味は貴腐菌が原因だと思います。アマローネする過程で付いたものだと思います。アマローネの産地ヴェネトは涼しく湿度もあるので貴腐菌が付きやすいかと。逆に温暖で乾燥したプーリアでは付きにくいのだと思います。あと蛇足ですが(笑)、アマローネやこのアパッシメントのようなワインは安定させるためSO 2 が多めに添加されます。ですから貴腐由来の苦味ではなくSO 2 の多量含有が原因の甘苦さが多く見受けられます。残念なことです。」
「マスキューさん。このワインもそうなんですか?」
私「このアパッシメントはこの手のワインとしてはかなり少ないと思います。造り手の尽力が伺えます。」
「マスキューさん。このワインの生産者プロゲット・ヴィニはかなりの技術があるんですね。有力な生産者
なんでしょうね(笑)?」
私「それが全然無名(笑)。自分で瓶詰めリリースするのが初めてらしいです(笑)。」
家内「それまでは大手に売却していたようです(笑)。」
「それでこんなワイン造っちゃうんですか!?」
私「たまたまなのか?どうなのか?
興味を引かれます(笑)。我々はワインの品質決定は酸によるものと教えられてきました。ただこのワインはワインの依って立つものが酸ではなくエキス分やタンニンとしか思えません。」
家内「原理主義者の私としては判断に困る問題児です(笑)。」
「なるほど(笑。でもコスト・パフォーマンスが高いのは確かだと思いますよ(笑)。」
私「ありがとうございます(笑)。」
「これって今風なんですよね?」
私「う~ん。言うならば『スーパー今風』かな(笑)?」
「ところでこのワインどんな食べ物に合わせますか?」
家内「チョコレート・ケーキなんか鉄板かな(笑)。」
私「ポートワインみたいなデザートワイン的な考えしか浮かびません(笑)。これをガブガブ飲みながらむしゃむしゃ食べる体力がない(笑)。」
「マスキューさん南イタリアの郷土料理で牛の内臓の煮込みがあります。たっぷりのカカオを加えて煮込みます。もの凄く美味しいですよ。こなワインとマリアージュするはず!」
私「さすが博識!」
「あっ!それってアフリカの料理の影響ですよ(笑)!」
私「これまた良くご存知で(笑)!」
「黒糖の香りがあるから和食の甘辛醤油ダレも行けそうですよ(笑)。鰻や焼き鳥だっていいんじゃないかな(笑)。角煮に黒糖を隠し味的に入れたら完璧なはず。」
皆様の知識・知恵・経験から多くを知りました!ありがとうございました!

尚、プロゲット・ヴィニのアパッシメント、好き嫌いはあれど本日のトップ・セラーとなりました(笑)。めでたし、めでたし。

ご来店ありがとうございました!

桝久商店 岡本利秋・昭子

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